第216話 ネット社会の光と影
寒かった冬も終わり、やっと暖かくなってきました。この冬はインフルエンザが例年以上に流行して外来はバタバタとしていましたが、最近は少しずつ落ち着きを取り戻したように感じます。
春といえば球春到来ということでプロ野球もいよいよ開幕ましたが、先日終わったWBCの日本代表は本当に惜しかったですね。日本以外の国も以前に比べると本気度が感じられ、予想以上にレベルの高い大会となったようです。ただ、日本が残念ながら敗戦したあとからネットで選手に対する誹謗中傷が増えたようで、とても残念でなりません。誰も負けようと思ってやっているわけでもありませんし、日の丸を背負ってプレーすることがどんなに大変なことかというのを考えると、犯人探しのようなことはあってはならないと思います。匿名だからなんでも言っていいという最近の風潮は、一人一人が謹むべきではないでしょうか。お隣の韓国ではネットでの誹謗中傷が原因で命を落とす有名人が多いと聞いています。日本以上にネット社会の韓国だからなのかもしれませんが、ここはネット社会の悪いところかも知れません。
ただネット社会は便利なところも多く、今はわからないことはパッと検索エンジンで調べることが出来ます。最近ではクリニックを受診される際に病気について下調べをして来られる保護者の方も増えてきました。ただ、あまりに調べ過ぎて不安になってしまうことも少なくはないようです。自分が診察したこともないような病気を例に出して「この病気じゃないですか?」と質問されることもありますが、自分はまずは普通によくある病気を考えるようにしています。例えば発熱というキーワードで検索すれば、当然どこかでは白血病という病名もヒットします。それを見たら当然不安になってしまいますが、白血病はそうそう出会うような病気ではありません。開業して20年以上になりますが、これまで自分が当院で白血病を疑って確定診断されたお子さんは2名ですので、頻繁に遭遇する病気ではありません。要はネットで調べ過ぎて不安になるのもあまり良くないということです。
最近では、我々はインターネットの発達にかなりの恩恵を受けているのも事実です。HP経由でこの文章を見ることが出来るのも、いろいろなお知らせを皆さんに告知することが出来るのもネットのおかげです。予想以上に見ていらっしゃる保護者の方が多いのには驚いています。特に感染症のところは気にして見られる方が多いようです。ある程度は病気の流行状況がわかると思いますので、受診の際には参考にされてみてはと思います。
また予防接種の予約も、ネット予約にしたおかげでスタッフもバタバタすることが少なくなりました。それからキャンセルもネットを使って自分で出来ますので、保護者の方が診療時間内に電話して変更する必要もなくなりました。以前電話で予約をしていた頃は、インフルエンザワクチンの予約時期になると昼休みでさえ電話が鳴り続けたり、繋がらなかったりすることも少なくはありませんでした。そういうことがなくなりましたので、これは非常に助かっていますので、まさにネット社会の恩恵だといえます。
ネット社会は匿名性という一歩間違えれば凶器にもなりかねない危険性を持ってはいますが、上手に付き合っていけば非常に便利な武器にもなります。今ではネットがなくては生きていけないと言っても過言ではないというくらい、ほとんどの方がお世話になる時代になりました。武器にするか凶器にするかは利用する人次第ですから、いろいろな情報を上手く選択して利用して欲しいと思います。
【令和8年4月】
よしもと小児科 吉本寿美







