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第192話 改めてワクチンを考える

小児科医のつぶやき|第192話 改めてワクチンを考える

 この4月から新しいワクチンが登場します。これまでもいろいろとワクチンについては述べてきましたが、今回改めてワクチンについて考えてみようと思います。  
  まずこの4月から何が変わるかというと、これまでの4種混合ワクチンが4種混合とヒブが一緒になった5種混合ワクチンに代わります。今のところこれまで4種混合ワクチンを接種してこられたお子さんは、引き続き4種混合ワクチンを接種することになっていますが、今後は変わっていく可能性もあると思います。また5種混合ワクチンは2つのメーカーより発売されていますが、今のところ最初に接種したメーカーの方を最後まで接種する必要があるようで、交互接種は認められていません。これについても今後変わっていくかもしれません。この辺りはもう少し最初から国の方で詰めておいて欲しかったですね。現場はしばらく混乱するのではないかと思います。    


 それから肺炎球菌はこれまでの13価から15価に代わります。13価ではカバー出来ていなかったものがカバー出来るようになります。こちらについては13価を接種したお子さんも15価を接種することが可能ですので、4月からは全てのお子さんが15価の肺炎球菌ワクチンを接種することになります。このことは非常に喜ばしいことです。


 そしてこれまで無料で接種出来ていたコロナウイルスワクチンは、4月から有料での接種になります。今のところ秋冬接種が予定されていますが、聞いたところでは12歳以下のお子さんに接種するワクチンの準備がされていないようです。最近はコロナワクチンに対する関心も薄れ、無料でも接種するお子さんはほとんどいなくなりました。予防はやはりワクチンということになりますので、いかに接種率を上げるかというのが今後の課題になってくると思います。  


 また先月は麻疹のニュースが報道されました。最近はワクチン接種率の向上で、国内で麻疹の発生はほとんどなくなりましたが、輸入されて広がるケースが時々報告されています。そうなると困るのが、ワクチンの買い占め問題です。実際今回も関東周辺では買い占め問題が発生していて、そのため我々小児科クリニックにはワクチンが入荷しにくくなってしまいました。4月からは新年度になり、一気に接種するお子さんが増えるというのに、困った問題が生じてしまっています。日本では何か起こるたびに毎回ワクチンが不足する事態が生じてしまいます。結局被害を被るのはお子さんですから、国はもう少し強固なワクチン行政を構築してほしいと思います。    


 当院は他のクリニックに比べたらワクチンを接種してくださいと、うるさく勧める方だと思います。ネットの書き込みには勝手に勧めるなという否定的な意見もあるようですが、なぜ積極的に勧めるのか。最大の理由は病気から子供たちを守りたいということ。ワクチンさえやっていたら守れた命を助けることが出来なかったことを何度も経験しました。そして、あと1つは抗生剤の使用頻度を減らすということ。ヒブや肺炎球菌ワクチンの接種により重症感染症は激減しました。それにより抗生剤の使用頻度も激減し、耐性菌が増えるのを抑える効果があります。  


 ありがたいことに菊陽町ではこの4月からおたふくかぜワクチンへの助成が始まります。ワクチン否定派の方にはうるさいと思われるかも知れませんが、これからも当院は積極的にワクチン接種を勧めていきたいと思います。それが未来の子どもたちの笑顔に繋がると信じていますので。      



【令和6年4月】
よしもと小児科 吉本寿美

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