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第158話 改めてワクチンについて考える

小児科医のつぶやき|第158話 改めてワクチンについて考える

 最近はワクチンという言葉を頻繁に耳にするようになりました。ご存知のようにコロナウイルスのワクチンの接種が始まったからだと思いますが、今回は改めてワクチンとは何かというのを考えてみたいと思います。
 簡単に言うと、ワクチンは大きく生ワクチンと不活化ワクチンの2つに分かれます。それぞれに接種間隔や接種回数が規定されていて、接種することで抗体を作り病気にかかりにくくする効果を発揮します。誰でも知っているのはインフルエンザワクチンではないでしょうか。その他にもたくさんワクチンの種類はありまして、お子さんのいらっしゃるご家庭ではもっとたくさんのワクチンについての知識を持っていらっしゃることと思います。一方、成人ではインフルエンザや肺炎球菌くらいしかワクチンはありませんでしたので、今回の件でワクチンについて改めて勉強された方も多いかもしれません。      


 今話題のコロナウイルスワクチン(ファイザー製)は、3週間空けて2回接種することになっています。早く接種出来ると思っていましたが、日本はまずモノがないというところからつまずいてしまいました。さらには案の定予約が上手く取れないようです。開始前から大丈夫かな?と思ってはいましたが、悪い予感が見事に的中してしまいました。だいたい、高齢者がネットを駆使出来るわけもなく、電話なんて繋がらずにパンクしちゃうって普通に考えたらわかるのじゃないかなと思いますが、なんであんなやり方にしちゃったんですかね。担当の方も一生懸命されていて、今まで経験した事がないことに挑んでいるのですから、仕方のないことです。では、どうすればよかったのでしょうか。いくつか方法はあったと思いますが、自治体任せではなくて国が主導してやっていくことは出来なかったのでしょうか。そうすればもう少しトラブルも少なくなったのではないかと思います。海外でも出来ていることなので、勤勉な日本人であれば出来ないことはないと思いましたが。  


 今のところコロナワクチンの接種対象者は16歳以上ですから、我々小児科医にはあまり関係がないようにも思います。ただし、このような状況ですので小児科医の自分も接種をする側に回る事が予定されています。ただ、コロナワクチンより我々小児科医が心配しているのは、現在日本脳炎とおたふく風邪ワクチンがしばらく接種できないということではないでしょうか。日本脳炎は来年まで、おたふく風邪ワクチンは今年10月頃まで出荷が制限されてしまいました。今年は大丈夫だろうと思っていましたが、今年もやっぱりワクチン問題が起きてしまいました。これまで幾度となく繰り返されるワクチン問題、結局被害を受けるのはワクチン接種が出来ない子供たちなのです。  


 どうも国はワクチンに関しては及び腰のような印象が拭えません。今でも国は子宮頸がんワクチンの接種を積極的に勧めていませんので、我々現場の人間が頑張って接種率を上げている状況です。おたふく風邪ワクチンも今だに任意接種で、お金が必要とは先進国なのにお恥ずかしい限りです。少子化を嘆くならば、もっと子どもにお金を使うべきではないでしょうか。ほんとこのままでは日本は滅びてしまうのじゃないかと危惧しています。


 ワクチン問題については何かしら毎年いろんな事が起きてしまい、その都度現場が混乱し結局自分らがお詫びをしなくてはならない事態になります。けれどそんなことより接種出来ない子供たちが一番の被害者であるということを、日本のトップの方は真剣に考えて欲しい。未来を支える子供たちを救えない人が国を救えるなんて、とても思えませんが。    



【令和3年6月】
よしもと小児科 吉本寿美

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