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第71話 栄光と挫折

小児科医のつぶやき| 第71話 栄光と挫折

 寒かった冬もやっと終わりに向かってきたように感じられるようになりました。例年になく厳しい寒さで、いつもよりインフルエンザの患者さんも多かったように感じました。積雪被害の報道も多く、改めて自然の脅威を感じる今季の冬でした。


 そんな寒さの中、冬季オリンピックが開催され選手の活躍に一喜一憂しました。栄光を掴んだ者もいれば、メダルに届かず悔し涙を流した選手もいました。とかく日本は「メダル」いう3文字が強調されますが、僕自身はどうでもいいように思えてなりません。出場するだけで凄いことですし、そこに至るまでの過程では血の滲むような努力をされてきたのだと察します。メダルはあくまでも結果であって、どんな選手でも称賛に値すると思います。メダルを取った選手が、必ずしもその後の人生が幸せだったというとそうでもないようです。そう考えると、メダルを取れた事がよかったかどうかわかりませんし、惜しくも取れなかったけどその後の人生が素晴らしいという場合も数多くありますので、人生とは不思議なものです。


 同じように、入試も勝ち負けがついてしまう残酷なものです。仕方ないとはいえ、1回の試験ではっきりと勝者と敗者が決まります。ですが、これまた面白いもので合格したらそれでいいかといえば、そうとばかりも言えないのが人生の面白いところです。不合格によって、もっと頑張ろうということでその後の人生が素晴らしいものになったケースは数えきれない程あります。先日、日本の最高学府といわれる東大医学部を卒業した学生のその後というのを何かの記事で読みました。当然教授になっている方も多かったですが、自殺した人や行方不明になった人もいて、東大医学部合格という栄光を勝ち取った人が人生の栄光も勝ち取ったかといえば、そうでは無い場合も結構あるようです。人生とはうまくなっているなとつくづく思います。


 挫折を味わった者はその後の人生でもきっとその挫折が役に立ちます。ストレートで合格できればそれに越したことはないでしょうが、そうなんでも上手くはいかないのが人生の常です。自分もお恥ずかしながら、大学受験には2度失敗し挫折を味わい、3度目の正直で何とか滑り込みました。でも、浪人したお陰で多くの事を学び、自分を強くし、その後の人生に多大な影響を与えたと思っています。もし、失敗しなければ工学部へ進学予定でしたので、医者という選択肢はありませんでした。人生とは何がどうなるかわからないものです。


 3月は受験生にとっては大変な時期で、毎年悲喜こもごもの様子がニュースで流れます。でも、合格不合格というのはあくまでも結果であって、挫折はその人の器を何倍にも大きくしてくれるのは間違いありません。何事もコツコツ頑張れば、きっと報われる日がやってきます。合格した方は、それで満足せず更に上を目指して努力を怠らずに邁進すればいいし、残念な結果に終わった方もなにくそと思って頑張れば、挫折もいつかは笑い話になるものです。


 毎年、この季節になるとなぜかいつもこのような事を思います。自分の人生を振り返っても不思議な感じがしてなりません。全ての勝者と敗者にエールを送ります。



【2014年3月】
よしもと小児科 吉本寿美

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