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第152話 年末の雑感

小児科医のつぶやき|第152話 年末の雑感

 いつもならば今年を振り返ってという記事を12月は書いていますが、コロナ意外にこれといった話題もなかったようですので、取り留めもないことを書いて終わりたいと思います。  11月は比較的暖かい日が続きましたので、野菜の価格が下落しているようです。それは嬉しいことではありますが、農家の息子としては素直に喜べないところがあります。農業というのはある種バクチみたいなもので、今年価格が良かったから来年はいいかというと、そうではないことが多いような感じがします。天候などにも左右されて、ほんと農業の経営は難しいのです。ただ、やり方によっては採算が取れるようにもできるので、このような状況下においても農業は魅力的ではあります。土に触れるというのは子どもさんにとっても非常に大事なことだと常日頃思っています。      


 一方では海の状況も刻々と変化しているようです。暖流が北の方に進んでいるため、取れる魚の種類も変わって来ているとか。サンマなんて庶民の魚でしたが今や高級魚になってしまい、簡単に安く口にすることが出来なくなってしまいました。気候の変動は様々なところに影響を及ぼして来たようです。おいしい魚を安い値段で食べられなくなったのは、非常に残念で今後が心配ではあります。    


 我々の業界も、暖かいといわゆる「かぜ」をひくお子さんは減少します。それ故、外来診療も多忙を極めることはなく、のんびりと診察をすることが出来ます。感染症の流行がない現在では、入院するケースなどは皆無の状態ですので、入院施設を持っている大きな病院の経営は大変なようです。このような状況が続けば小児科は閉鎖ということにもなりかねません。ただでさえ不採算部門のレッテルを貼られている小児科ですので、勤務されている先生方のご苦労は相当なものだと察します。病気が少なくなるのは世間一般にはいいことではあるのですが、ある程度いろいろな感染症に暴露されて成長していくのが子どもだと思います。それがなくなってしまうと、大きくなってからどうなるのだろうというのが今更ながら心配ではあります。  


 日本には春夏秋冬という、素晴らしい四季があります。それぞれに趣のある季節で、自分はどの季節も好きです。そこにはその時期特有の動物や植物、気候だったり風習だったりが各地に存在します。そしてそれを楽しむ多くの日本人がいますし、そこには当然ながら喜怒哀楽もあります。ところが表情をなくしてしまった現在、自ら命を断つ方が増えていると聞きます。ほとんど報道されませんが、これは非常に重大な問題だと危惧しています。面と向かって話すとか今まで当たり前であったことが当たり前ではなくなった現在、日本人の優しさが消えていってしまうような感じさえしてなりません。幾多の困難に打ち勝って来た日本人は、どこへ行ってしまったのでしょうか。  


 いろいろな困難が次から次へと起きてしまった熊本、及び日本ではありますが、それでも当たり前のようにお正月はやって来ます。冬もやって来て、その後は当然ながら春がやって来ます。最近は何が当たり前なのかわからなくなって来ましたが、よく言われるように「明けない夜はない」ということを信じて新しい年を迎えたいと思います。    



【令和2年12月】
よしもと小児科 吉本寿美

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