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第141話 新年に寄せて

小児科医のつぶやき|第141話 新年に寄せて

 あけましておめでとうございます。本年もどうぞ宜しくお願い致します。今年はすでにインフルエンザがかなり流行していて、いつもの年末年始とはちょっと違った状況です。例年であれば年明けから本格的な流行が始まりますので、今年の流行が今後どうなるのか気になるところではあります。A型が流行した後にB型が流行して終わるというのがいつもの流れではありますので、春先までは注意が必要です。    


 昨年は夏場にRSウイルス感染症が流行して、例年になくバタバタした印象がありました。今までの感覚だと、年内いっぱいRSの流行が続いてその後にインフルエンザが流行するという順番だったのですが、RSの流行は早々と収束してインフルエンザが思ったよりも早く流行し始めました。原因はラグビーW杯で多くの外国からの人が入ってきた為ではないかとも言われています。そうなれば、今年はオリンピックが夏場に開催されますので、もっといろいろな感染症が持ち込まれる可能性もあります。当然、インフルエンザがオリンピック付近から流行する可能性もないとは言えません。    


 また、発展途上国の方も多く参加され観戦に来られますから、ポリオが持ち込まれる可能性も危惧されています。我が国ではポリオはなくなりましたが、世界中を見渡してみるとまだポリオが発生している国もあります。ワクチンをしているから安心というわけではなく、抗体価が下がってくる可能性もあるため、年長児で5回目のワクチン接種(自費)が勧められています。ただし、まだ認知度が低いため当院でも接種される方はほとんどいらっしゃらないのが現状です。ですが、三種混合ワクチンについては追加接種をされる方が少しずつ増えています。昨年も、かなりの百日咳患者さんが小学生を中心に当院周辺で発生しましたので、百日咳予防のために接種するというのは少しずつ認知されてきたようです。ただ、こちらも任意接種ですので接種される方はまだ少ないのが現状のため、今年はもっと推奨していく必要があるかと思います。    


 そして、今年の10月からはいよいよロタワクチンが定期接種となります。これまでも接種される方は多かったのですが、定期接種となりますので今後ますます冬場の重症嘔吐下痢のお子さんは減ってくるものと期待されています。少なくとも入院するお子さんはこれまで以上に減少していくのではないでしょうか。あとはおたふく風邪ワクチンが定期化されればいいのですが、これについてはまだまだハードルが高いようです。また、子宮頸がんワクチンの普及活動も昨年以上に積極的に行っていきたいと思います。自治体の担当者と話しましたが、自治体としてはやはり広報活動は出来ませんとのこと。そうなれば小児科医がやるしかないと思っています。誤った考え方を訂正していくのは簡単ではありませんが、子ども達の命を守るためにやらなくてはならないと思っています。  


 そして、昨年末にはワクチンの接種間隔について改訂する方向であるとの報道がなされました。要するに今までは不活化ワクチンは1週間空けないといけなかったのが、翌日でも可能になるということだと思います。ならば、これまでの接種ミスとされていたのはなんなのだと言いたいのですが、そこは前進なのかもしれません。


 今年もワクチンを始めとしていろいろなものが変わってくると思いますが、丁寧に診察して不要な抗生剤は出さないという基本は変わらずに貫いていきたいと思います。どうぞご理解のほどよろしくお願い致します。



【令和2年 1月】
よしもと小児科 吉本寿美

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