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第166話 失敗から学ぶ

小児科医のつぶやき|第166話 失敗から学ぶ

 いよいよ今年も入試シーズンを迎えました。例年とは違った状況で、別なところに気を遣わなくてはいけないので大変かとは思いますが、どうか悔いのないように頑張ってもらいたいと思います。たかが入試ですが、されど入試なんです。結果が全てで、どんなに頑張ってもその過程は評価されません。あとは体調を整えて、最高の状態で本番に望んでください。 


 では、残念ながら受験に失敗したらダメかというと、そうとも言えないところが人生の面白いところです。かくいう自分も大学は2浪しています。最初から医者になるつもりはなく、当初はエンジニアを目指していましたので工学部を受験していました。ところが、現役と1浪で詰めが甘かったため見事に玉砕しました。そこで自分を見つめ直す時間が出来て、このままでいいのだろうかという問いかけをして、人と関わる仕事がしたいということで医者になることを決めたのです。失敗がなければ今の自分はないのですから、受験の失敗は結果的にはいいことだったと思っています。    


 失敗といえば、あってはいけないことですが診療中の失敗も幾度となく経験しました。子どもの虫垂炎を見逃してしまったという経験は、小児科医であれば誰もが経験することではないかと思います。絶対にやってはいけないことですが、小児の虫垂炎は鑑別が難しくて胃腸炎症状で発症することも少なくありません。そのため虫垂炎を胃腸炎と誤診するケースはよくあります。特に胃腸炎が流行している時期には、見逃してしまいそうですので先入観を捨てて診察をしなくてはいけません。そういう意味では、患者さんは医者にいろんなことを経験させて教えてくれる素晴らしい先生だと思っています。  


 人生においても、失敗から学ぶことはたくさんあります。失敗しない人はまずいないと思いますし、命に関わらない失敗であればどんどんやっていいのではないかと思っています。もちろん失敗しないに越したことはありませんが、「失敗は成功の元」というように、成功にたどり着くまでには多くの失敗を経験するのは仕方ないことです。医学の道では基礎研究をやっていらっしゃる先生が多くいらっしゃいます。その先生方の話を聞くと、1つの成果が出るまでには山ほど実験で失敗をされるようです。表には素晴らしい成果しか出てきませんが、その影では血の滲むような努力や多くの失敗や挫折があるというのを忘れてはいけないと思います。    


 自分もいろんな場面で失敗を繰り返してきましたし、これからもまだまだ仕事以外で失敗することは幾度となくあるでしょう。若い方であれば、尚更これからたくさんの失敗を経験されると思います。その時にどう振る舞うかというので、その人の評価が決まってくるように思います。失敗したからそこで諦めるのか、あるいは何くそと奮起してもう一度頑張ってみるのか。特に若い方にはたくさん失敗する権利があると思っています。どんどん失敗して、いろいろなことを経験して、壁を乗り越えていって欲しいと思います。「困難は乗り越えられる人にしかやってこない」といいます。失敗もいつか成功に繋がっていくはずですから、失敗を恐れずにどんどんチャレンジして欲しいと思います。さすがに自分はもう失敗してはいけない年齢になりましたので、これまでの失敗から学んだことを糧にして、しっかりした診療を続けていこうと思っています。  



【令和4年2月】
よしもと小児科 吉本寿美

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