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第160話 プレッシャーを楽しもう

小児科医のつぶやき|第160話 プレッシャーを楽しもう

 いよいよオリンピックが始まり熱戦が続いています。いつもの大会とは違った雰囲気と環境の中での開催となりました。更には直前になって関係者の問題が次々と発覚して開催の是非まで問われる大会となってしまいましたが、個人的には選手の皆さんにはどうか楽しんで欲しいと思っています。これまで血の滲むような努力をやってきた選手には何の責任もありません。メダルを取れたら一番いいのでしょうがそれはあくまでも結果ですので、最高の舞台で最高のプレーを見せてくれることを願っています。  


 ただ、世界が注目する大舞台ですから当然プレッシャーというものは少なからずあるでしょう。日本人は以前からプレッシャーに弱いと言われていました。メンタルトレーニングについては、疎かにされていたように思います。スポーツに大事なのは「心技体」と昔からいいますが、どれが抜けてもいい結果を出すことは出来ません。普段は素晴らしい結果を残している優秀な選手なのに、大舞台になると何故か結果を出す事が出来ない選手は以前からよくいました。逆に普段は大したことない選手なのに、何故か大舞台に強くてここぞという時に素晴らしい結果を残す選手もいます。特にオリンピックは4年に1回ですから尚更なのかもしれませんね。    


 プレッシャーは何もスポーツに限ったことではありません。普通の人でもいろんな場面でプレッシャーを感じることはよくあると思います。もちろん、子どもでも例外ではありません。発表会であったり、競技会であったり、試験であったりと、プレッシャーを感じる場面は多いようです。最近はそのため腹痛や頭痛を訴えて受診するお子さんも以前に比べたら増えてきました。特に小学校の高学年から中高生に多い傾向があります。多くのお子さんが表情は良くて、きちんと話もしてくれますし、食欲がないわけでもないけど、よく腹痛や頭痛が起きてしまうというのがほとんどのようです。あるいは、週の初めになると途端に腹痛が出現してしまうというお子さんも結構いらっしゃいます。最初から気持ちの問題だと決めつけてしまうと、本当の病気を見逃してしまう場合もありますのでそこは慎重に対応しなければなりませんが、何度か診察していると何となくそうではないかなというのがわかります。  


 「プレッシャーを楽しもう」と巨人軍の監督だった長嶋さんが言っていたのじゃなかったかなと思いますが、そうそう普通の人が楽しむことは出来ないと思います。でもそう出来るようになるために努力すれば、少しは近づいていけるのかもしれません。自分自身、プレッシャーには強い方ではありませんが、意外と開き直って何とかなるでしょうとか、なるようにしかならないよねと思うと、少し気が楽になります。オリンピック選手の皆さんがどのようにプレッシャーを克服されているのか、個人的には非常に興味のあるところではあります。しかも、常にメダルを期待されている選手であれば、勝って当たり前ですので、他の選手以上にプレッシャーに押しつぶされそうになるのではないかと思いますが、そういう姿を微塵も見せないところは凄いの一言に尽きます。


 とても他の人には理解できない心理状態の中で頑張っている人には、「プレッシャーなんかに負けずに頑張れ」と応援したいものです。プレッシャーを消し去ることは出来ないと思いますので、仲良く付き合っていく方法を探すことが克服への近道なのかもしれません。オリンピックが終わればいよいよ大好きな甲子園の熱い戦いがやってきます。    



【令和3年8月】
よしもと小児科 吉本寿美

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