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第208話 咳について考える

小児科医のつぶやき|第208話 咳について考える

 今年は驚くほど早い梅雨明けで皆さんもびっくりされたのではないでしょうか。さすがに雨量が少なくなって田植えに影響が出ていると親戚が困っていましたが、その後は夕方に突然土砂降りがあったりして、少しは雨不足も解決したのではないかと思います。しかし、いつもと違う夏の到来にこれからがちょっと不安になってしまいます。気温もかなり高くなっていますので、何も起こらないといいのですが。    


 ところでこの時期になると小児科医は比較的のんびりと出来ることが多いのですが、今年はちょっと様子が違うように感じています。例年であればヘルパンギーナや手足口病といった、いわゆる「夏風邪」のお子さんが増えてきます。もちろん診察するだけで簡単に診断出来ますので、あまり頭を悩ますことはありません。また発熱しても長引くお子さんは少ないのが夏の発熱の特徴です。ところが今年は呼吸器疾患の病気が増えていて、特にマイコプラズマと百日咳の2つの疾患の流行がなかなか収束しません。夏休みに入っていますので早く感染が収束してくれたらいいのですが、果たして今月はどうなりますでしょうか。


 マイコプラズマは一般的には朝は解熱して夜に発熱が続くケースが多いのですが、熱が続かないケースもあります。また検査キットで陽性とはならないものの、レントゲン撮ると明らかにマイコプラズマ肺炎を思わせる画像を認める症例も少なくありません。また厄介なことに、最近では抗生剤が効かないマイコプラズマの症例も増えてきています。そのため小学生以上のお子さんで入院となるケースが増えてきているのが問題になっています。  


 一方、百日咳は一般的には発熱を認めることはありません。夜間に酷くなる咳というのが特徴ですが、聴診してもわかりません。また咳だけですから成人の方も含めて病院を受診されないケースが少なくないようです。そして一番の問題はワクチン未接種の2ヶ月未満のお子さんが百日咳に罹患してしまうということです。自分の息子も生後1ヶ月で罹患してしまい、夜中に無呼吸発作を起こしてかなり心配しました。聞くところでは、日本では最近までに約10名のお子さんが亡くなられたそうです。また熊本赤十字病院でも10名以上のお子さんが呼吸管理を必要としたと聞いております。しかも予防に必要な3種混合ワクチンも現在品不足で、なかなか接種が出来ない状況が続いています。1日も早く流行が収束してくれることを願うばかりです。


 咳というのをネットで調べると、「のど・気管の粘膜が刺激されたとき、反射的に呼吸を止め、短く強く吐き出す息。またその音」と書いてあります。受診された際に保護者の方は、「咳止めをください」と言われることがよくありますが、本来咳止めという薬剤を出すことはしません。咳を止めてしまいますと、単なる風邪だったのが悪化してしまって、気管支炎や肺炎になってしまいます。咳をして上手に痰を出せない小さいお子さんや高齢の方がそのような状況になってしまうのは、そういうことなのです。「風邪は万病のもと」とは昔の人はよく言ったものですね。ただ本来はどんどん咳をして痰を出して欲しいところなのですが、コロナ以降咳をするとどうしても周囲から冷たい視線を浴びてしまいがちです。なので、人がいないところではたくさん咳をして痰を出してねと説明しますが、なかなか難しいところです。  


 他にも喘息だったりクループという病気だったり、咳といってもいろいろな病気があります。軽く考えてしまうと取り返しのつかないことになってしまうケースもありますので、お子さんの様子が気になる場合は早めの受診をお勧めします。      



【令和7年8月】
よしもと小児科 吉本寿美

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