第210話 改めてワクチンについて考えてみる
10月になりまして、少しずつ暑さも和らいできたように感じます。そして日が暮れるのも早くなってきて、仕事帰りには夕日も沈んでしまっていますので、確実に秋はやってきているのを実感します。本来ならば秋は過ごしやすい気候なのですが、最近はどうも春秋が極端に短くなってしまったように感じます。代わりに夏冬が短くなってくれたらいいのにとつい思ってしまいますが、果たして今年の秋はどうなるのでしょうか。
とはいいながらも、既にインフルエンザの予約が始まっていて、かなりの枠が埋まっていますので、早くも冬の準備が始まっています。当院はワクチンに関してはネット予約のため枠が限られていて、残念ながら全てのお子さんのニーズに対応することが難しい状況です。幸い、菊池郡市は今年度も補助がありますので、インフルエンザについてはどこで接種しても費用は同じです。早い年は12月には流行が始まりますので、出来れば11月までには接種を済ませられることをおすすめします。
ご存知のように小児のワクチンについては少しずつ変わってきています。これまでの4種混合ワクチンが生産終了となり、現在は5種混合ワクチンに変わりました。既に海外ではB型肝炎も含めた6種混合ワクチン接種が始まっていますので、日本もいずれ変わっていくものと思います。肺炎球菌も20価のワクチンになり、カバーできる範囲が広がってきました。それに伴って、重症の細菌感染症のお子さんが最近は少なくなって、小児科の外来診療も以前とは様変わりしました。抗生剤の使用頻度も少なくなって、非常に喜ばしいことです。
ただ、理由はわかりませんが接種を全くやっていないお子さんを検診で時々見かけます。以前は保護者の方に定期だけでもと接種を促していましたが、どれだけ言っても無駄というのを何度も経験しましたので、最近は言わなくなりました。保護者の方の考えがあってのことだとは思いますが、子どもさんが大きくなった時にどう思うのだろうと、いつも気になっています。当院はワクチンについては定期以外のワクチンも積極的に推奨しています。おたふくかぜワクチンは、菊陽町では補助が出るようになったこともあり、接種率が以前よりも上昇したように思います。3種混合ワクチンも保護者の方の理解があって、少しずつ増えてきました。ただ、依然として百日咳の患者さんがいらっしゃいますので、これからも地道に任意接種も進めていきたいと思っています。
その一方で、残念ながら子宮頚がんワクチンの接種率はなかなか上昇しません。メーカーの調査によれば、熊本県は全国でも接種率が低いそうです。今でも接種についての話をすると、やはり副作用が心配だと保護者の方が言われて接種をされないお子さんも少なくはありません。安全だという論文もたくさん出ていますが、ネガティブキャンペーンのような映像をバンバン見せられたら、接種を躊躇する気持ちも理解できます。この点については、マスコミの責任は重大であると言わざるを得ません。是非とも安全であるという報道も流して欲しいと思います。
医者になって30年以上が経過しましたが、ワクチンさえ接種していればこんなことにはならなかったのにという事例をたくさん経験してきました。自分の息子は生後1ヶ月で百日咳に罹患し、8ヶ月の頃にはおたふくかぜによる髄膜炎にもなりました。どちらもワクチンを接種していれば防げたのではないかと思います。幸い大事には至らずに済んだのでよかったのですが、一歩間違えば大変なことになっていたかも知れません。そんな自分の経験もありますので、これからもワクチンについては当院では積極的に推進していこうと思います。がん検診もそうですが、これからの医療は病気を予防する時代です。
【令和7年10月】
よしもと小児科 吉本寿美







